Athiran (Malayalam/2019)をDVDで。
現地公開時からポスターの怪しい光を湛えたファハドの瞳にただならぬものを感じていたので、序盤で彼が冷静な医師であると分かりはぐらかされた。しかしラストでああそういうことかと納得。よく出来た組み立て(まあ、元ネタがあるらしいが)。ただし組み立ては良くともストーリーは冗長。ちっとも怖くないのはわかり切ったことながら、神秘的な情趣が全く感じられないのが問題。多くのレビューが映像美に言及しているが、凝った映像であることは認めるが美があるとも感じなかった。ゴーストハウスの造形などペラペラの安普請感がイタい。どうしてここで手を抜いたのかと疑問に苛まれる。脇役のナンドゥやレナも芝居が妙に安っぽい。しかしこれだけネガティブな要素があっても、ファハドとサーイ・パッラヴィの演技を見るのは無上の快感。無理のあるラブソングもしっかり決めて魅せるシーンにしている。自閉症児がカラリパヤットには特異な才能を見せるというのにリアリティがあるのかどうか分からないけど、舞踊家であるパッラヴィが行う立ち回りの美しさは、それだけずっと見ていたいと思わせるほどに魅力的。