Virus (Malayalam/2019)をDVDで。
これについては(自分は行けなかってた)上映会用のプレビューを書くために鬼のように現地レビューを読みまくったのでほとんどストーリーを知っていた。それでも実見して面白かったのは、やはりマラヤーラム映画界が誇る渋い脇役と渋い主役格が一体となって、スターエゴを出すことなく役になり切っているのを目にできたからだろう。ただし、現地レビュー百万遍をやらないで観る人には結構分かりにくい点もあると思う。ヴィシュヌの妻が堕胎を打ち明けるシーンなどがそれ。それからバーブラージ医師の破綻した結婚生活に何か展開があるのかと思うとそれはどこかに消えて行ってしまうとか、ドラマチックにするのを抑制しようとする気遣いが各所に見られる。基本的にはリアリティがある演出だが、デリーからやって来た役人がマラヤーラム語を喋るというのは観客のための方便なのだろうか。それから、地方都市であるコーリコードで、なおかつ救急病棟であるというのを割り引いでも、それでもあの病院のどんよりとした薄暗さと不潔感は恐ろしいと感じる。無菌室みたいなセットにしなかったのもリアリティ追求のためか。