Secret Superstar (Hindi - 2017)を試写で。
予備知識として、保守的なムスリム家庭の子女が、人前に顔を晒すことを許さない父親の束縛から逃れるために、ブルカを被ったユーチューバーとなるという話だと思っていた。しかし実見してみるとその束縛の描写にイスラーム性はない。子女の芸術活動を認めない、女児を忌避する、DV、中東移住、勝手に子供の結婚を決めるetc.は、すべてヒンドゥー家庭に置き換えても成り立つ。それに悪役性を一手に引き受けている父親は、妻にブルカを強いていない。パーティーに出かける時は空気を読んでリベラル風な服を着るように命じたりもしている(もちろん妻が自分で着るものを選べないのが問題なのだが)。娘に対しても、勉強しないとダメだと発破をかけたりする。このあたりは社会問題を特定のコミュニティーの問題に矮小化しまいとする巧みな計算によるものなのだと思う。それはいい。ただ、こういうお膳立てがあるならば、芸道ものとしてもっと魅せて欲しかった。歌が少なすぎる。それから歌の道においてヒロインが苦悶したり成長したりする余地がほぼいない。芸道ものだと思ったら母子ものだった!