Bharat(Hindi - 2019)をイオンシネマ市川妙典で見てきた。
これは予習で原作を見ない方がよかったのか。ともかく大味。そもそも主人公の名前をBharatとした時点で、こいつは無敵で無謬で老いて萎れることなど全くない奴なのだ。原作の主人公のようにやがては巷間に朽ちて地の塩となるという未来の暗示はない。原作にあったセンチメントを盛り上げる要素はことごとく改変されていて、しかもそれがインドの風土に合わせた改良とは思えず。たとえば冒頭の別れのシーンのもたつき。そもそも父親役をジャッキー・シュロフにやらせること。あと、原作では、生き別れになった妹が、かつての愛らしさの片鱗も残さないくたびれた中年女として現れ、しかも言葉が通じないという無残さが胸を打つのに、あんなことになってるし。原作でのベトナム行はよく分からないお気楽航海記だし。冒頭の別れのシーンだけは現代史だったけど、それ以降のエピソードに時代精神はあまりない。同棲にまつわるエピソードは、いわゆる楽屋落ちか。前半の曲芸バイク乗りのシーンで観客の一人が変に長々とアップで映るのはなんだったのか。てっきり有名人(AB?)だと思ったけど。