Varathan (Malayalam-2018)をD V Dで。
予備知識なしで臨んだけど、終盤20分ぐらいのところでやっとストーリーの道筋がわかるまでのあれやこれやが上手い。「御洒落なくして映画なし」のアマル・ニーラドがこんなのを撮るとは。ファハドにとっては初の本格的アクションではないだろうか。アクションではあるけど、やはりファハドなので頭脳プレーが混じる。そしてありがちな荒唐無稽アクションではなく、細っこい体から繰り出される必殺技は、家族を守るための本能によって増幅された力だということが分かる演技と振り付け。滑り出しでは心霊ホラーのようにミスリードするけど、真にホラーなのは田舎の人間の狭量さと独善だという、田舎礼賛がデフォルトのインド映画としては珍しいテーマ立て。昔に見たニュー・ジャーマン・シネマの某作を思い出したのだが題名が出てこない。田舎の問題と重ね合わされて、女性に対する暴力も語られる。親族の女子がこっそりデートするのを許さないモラル・ポリシングと、余所者の女性ならば何をしてもいいという暴力が同居する怖さ。ここまで嫌らしい田舎の描写も珍しい。アマル・ニーラド社会派化か?