August Club (Malayalam - 2013)をDVDで。
最近知り合いになった人物の監督作で、しかも唯一の監督作というので義理もあって見てみた。わずか6年前のものだというのに亡くなった俳優が複数出ていてノスタルジックな気分。一方で無名時代のトヴィノ・トーマスもちょい役で顔を出してて吃驚。身も蓋もない表現をするならば、夫に放って置かれた人妻のヨロメキドラマ。もちろんインド映画なので心が揺れるだけで決定的な背徳はない。というか、心の揺れを背徳と見做さないならばの話だけど。作品の結論としては、心の揺れだけなら許されるということのようだ。洒落た海辺のコテージ、ヒンディー語歌謡曲が好きな夫、英語の詩を引用する若い男、チェスの名人でやはり英語の詩を嗜む妻、ビッチな若い友人、全体を覆う中産階級の気取った世界観。その割にはヒロインの欲求不満の表現はうんざりするほどに陳腐。ただし、演じるリマの渇えの表現にはゾクゾクするものがある。それだけに、予定調和の凡庸なエンディングにはこちらが欲求不満になる。なんでもパドマラージャンの息子の小説が原作なのだそうだが、その文芸作品もこんな不発だったのか。