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「フリー・ファイヤー」 

嫌な予感を振りまく序盤を経て銃撃戦が始まる。しかしそこに映画としての快楽はない。あるのはミミズの如く這いずる哀れな役者たち。
これだけの人間が集まってワンシチュエーションでガンアクション、何故ここまで面白くないのかは立って歩くキャラクターが出てきた瞬間にわかった。
映画ってのは動くから楽しいんやと。実際の動きだけでなく、会話においてもその場その場で足踏みするようなやりとりしか示されない。誰も状況を打開する策を持たず漫然と撃ち合いを続け、また位置関係がはっきりしない(これもキャラクターが這いずっている所為である)ため状況の判別すら難しい。
アクション映画としての快楽を放棄してこの監督は何がしたかったのか。
「ペキンパーの映画を見て育った」なんてパンフレットに書いてあるもんだからもう、何を見てたのかと。
ペキンパーの銃撃シーンには一発の無駄弾も無い!
「ガルシアの首」で放たれる銃弾も、「ワイルドバンチ」でマキシム機関銃から吐き出される無数の銃弾一発一発にすら、「逆境ナイン」の男球が如くどん詰まりの男たちの魂が込められていた。だから俺たちは感動したんじゃなかったのか!

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