イノセンツ(エスキル・フォクト)
ホラーよりもジャンプスケアよりも怖い(本当に怖い)と感じたのは、子供だからこそ、どこでやめるのか、どこまでやるのかが分からなかったから。最初から最後まで絶えず持たされる緊張感はこれに起因するのだろう。
イーダが行うミミズ踏みや自閉症を持つ姉への暴力、かさぶた剥がし等は幼い頃に己も行った記憶しかない。特に、ピンボードを顔に押し付けて顔型を取る行為! 忘れてしまう幼少期の無邪気な残虐性、もしくは無知ゆえの万能感をまざまざと思い出させる。
年上のアナを導くように接するアイシャとの遊びの風景は心に沁み入るものがあった。
猫殺しは、エスカレートするベンの残虐性の下地として必要な描写と考える。猫を高所から落としてどうなるのかが知りたいイーダと、自ら手に掛けたものは殺さなければいけないと考えるベンとの差異にもなっている。
サイキックバトル時に、団地のあちこちの部屋の窓から二人の様子を見下ろす子供たちの描写が非常によかった。子供と犬だけが何が起きているのかわかっている。派手な表現を使わなくとも力強い超能力描写を観客に伝える手腕は見事。
子供は決して真実を大人に伝えない。