マルクス的な労働からの疎外→音楽的な貢献からの疎外。ただこれも見方に寄ればジョンもSNSではさも貢献しているように「振舞っていた」だけで、実際には自分が一切溶け込めていないことを誰よりもわかっていたのかもしれない。それにFRANKの表情だって「説明」しても誰にも真実はわからないのだし。
気になったのはドンの存在。ドンが初代キーボディストを降りた後もバンドにのっていた理由や、精神病患者であったにも関わらず他の健常者(ここでは便宜上こう呼んでおく)よりも遥かに「健常者」らしかったこととか、そして何よりも彼もジョンと同じ様にフランクへの同一化を図っていたこと。そしてフランクの被り物をした上での自殺。あのスタジオの中での覇権はどこにあったのか、おそらくクララだと思うけど、「カリスマ」と勘違いされたフランクの作る音楽がうまくイデオロギーとして作用していることにクララが気づいて常にバンドの中で内在化された抑圧構造が働いていたんだと思う。