『女王陛下のお気に入り』の感想です。 (4/4)
この嫌な感じは、普段我々が日常生活を送っている時に潜在的に感じていること。みんな表に出さないけどね。だからこそ、こんなにも嫌な気分になる。嫌な感じの切り取り方が上手い。
この映画には救いが全くないのか?というとそうではない。そこも上手い。エマ・ストーンがアン王女の苦しみを分かってあげるシーン。アン王女がエマ・ストーンの結婚を祝福するシーン。レイチェル・ワイズが夫の武運を祈るシーン。これらのシーンは救いがある。そのように撮られている。
この世という地獄から逃れるための唯一の方法は、自分以外の者のために良いことをすることなんですよ!と言いたいのかな・・・多分。
人生の9割以上はダメダメ。良い瞬間というのは1割程度しかないのかもしれません。
勉強になりました。
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『女王陛下のお気に入り』の感想です。 (3/4)
そして、人間の本質的であるが故に醜い部分を、これでもかと観せつけてきます。レイチェル・ワイズもエマ・ストーンも、狡猾で強欲で自分のことしか考えていない。しかしそれも悪いこととは言い切れない。何故なら、それが彼女らの生きる手段だから。そんなことは分かってるさ!でも、いざこうして映画として観せられるとこんなにも嫌な気持ちになるものか。
特にアン王女の描き方が上手い。この映画は、不幸な人生を歩んできた彼女の哀れさを単に御涙頂戴にしていない。結局、彼女も自分のことしか考えてない。エマ・ストーンもレイチェル・ワイズも、アン王女の娼婦でしかないことが段々とわかってくる。
『女王陛下のお気に入り』の感想です。 (2/4)
この救いのなさが実に素晴らしかったです。すっかり嫌な気分にさせられました。
帰りの電車では何でこんな嫌な映画なのか?を考えてました。
この映画、観客の気持ちが宙ぶらりんにさせられ、落ち着きません。それは何故か?
3人の女達が、わかりやすい善悪に分類できないから。この人は良い人なのかな?と思うと裏切られる展開の連続。いったい誰の物語なのか?分からない。先が読めない。最終的な着地点もよく分からない。ますここが上手い。
『女王陛下のお気に入り』の感想です。 (1/4)
観る前の期待=>楽しい映画なのかな!ワクワク!笑うぞ!
観た後の感想=>悪夢だ・・・悪夢でしかない。
前情報全く入れず、皆さんの感想もあえて見ずに、、、観たらこの衝撃。普段僕は分かりやすい映画ばっかり観てるし、ランチモスの過去作は1つも観てないから、そう感じたのだと思います。
序盤はシュールなギャグでコメディ調。しかし途中から全然笑えなくなる。ダメだ!ダメダメだ。ああああぁもうこの女3人何やってもダメだ・・・。おまけに化粧なんかしちゃってるイギリスの王宮の男どもって全然ダメじゃん。え?てことはイギリスという国家がダメじゃん。てゆーか登場人物みんなダメじゃん。この悪夢から早く解放されたい。俺はいったい何を観てるんだろう?
ファーストマンて、地上(a.k.a俗社会)が嫌になっちゃった男が、宇宙(a.k.a大自然)に逃避する話だよね。劇中のニール・アームストロングと奥さんの関係はどう見ても、上手くいってない夫婦にしか見えないし、実際、あの後で、彼は奥さんとは離婚している。愛を捨て、夢を選んだ男の物語として描かれている。
この辺りがダミアン・チャゼル節ですね。
LaLaLandで、愛よりも芸術を取ったセブとミアに対して腹を立てた人も、
ファーストマンで、愛よりも人類の偉業を取ったニール・アームストロングに対しては怒れないだろう。だって人類の偉業だよ?それを達成できる可能性があるなら愛など捨てるさ。
考えてみればセッションにも、人を捨てるが如く音楽に没頭する男達が出てきていた。
さっきLaLaLandの映画解説を聞いていて、そんなことを思った。
『座頭市鉄火旅』の感想です。 (2/2)
本作で15作目。愛着が湧いてきたというのもあるのですが、毎回、勝新太郎の座頭市としての魅力が増しているところが凄いです。座頭市は、サスペンスやチャンバラシーンは意外と少ない。何の変哲も無い日常シーン(話す、食べる、歩く、座る)や、日本の風景の撮り方で魅せてくるんだよね。これが様式美というものだと思う。
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『座頭市鉄火旅』の感想です。 (1/2)
安定の座頭市。相変わらず面白いです。
これまで何人もの敵をなぎ倒してきた座頭市。
その強さは、居合の腕だけではなく、その名刀のおかげでもあった。
本作では、その刀に寿命が来てしまう。刀を捨て、カタギとして働く座頭市。
さてどうなるのか?!・・・この設定自体がこれまでにないパターンでした。
本作ではうどん食いながら敵を斬ります(YouTubeにある名シーン)。
今回の悪役も汚い奴なんだ。
ひたむきに働く兄妹の全てを奪おうとするクソ野郎。
これに対して座頭市の怒りが爆発。
結局「やっぱり俺はカタギにはなれねぇ!」と言って、殴り込む。
ラストは「雪」の舞う「夜の宿場町」でのバトル。
何度観てもこの組み合わせは良いものです。
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@mangakantoku 感謝しかない・・・
『アクアマン』の感想です。 (2/2)
・・・にしても、海洋生物は何故こんなにも美味そうなのか。映画の後は、海鮮飲み屋で一杯やるのがオススメです!そんなことはどうでも良い。とにかくこの映像と世界観を観ろ。
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『アクアマン』の感想です。 (1/2)
良い映画ほど、短く感想が語れる。今回は「海は良いね!」だけで十分でしょ。
海中を縦横無尽に駆け抜ける様は圧巻。映像がとにかく凄い。海中における、これだけのアクションシーンは初めて観た。あと3Dで観る価値あります。是非3Dで。
海は良いね。海の大部分は人類未踏の領域。海の下にこんな世界があったら良いな!と妄想を掻き立てられる。
シナリオはこれまで何十回もあったありきたりアドベンチャーですが、そんなことはどうでも良い。とにかくこの映像と世界観を観ろ。
・・・!どこかで見たおっさんが出てるなぁ、と思いましたがドルフ・ラングレンやん。ウィレム・デフォーおる。顔もCG加工しまくりなんだろうな。全然気づかなかったぜ。そんなことはどうでも良い。とにかくこの映像と世界観を観ろ。
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日本で一番悪い奴ら
面白かった。白石監督曰く、グッドフェローズ感を出したかったとのこと。悪いことやりまくりで、だけど笑えるんだよね。そして爽快。バックからパンパンやってるところとかね笑。ブラックなギャグ満載。日本では悪い奴が高らかに笑うタイプの、不謹慎で最高に爽快な映画が少ない中でよく作ってくれたと思う。
それでも真面目だよなぁ白石監督。やはりどこか悪に染まりきれないところがあるんだろうなぁ。それはそれで好感はもてる。これは別にどちらが良いかの問題じゃなく、監督自身の作家性。それならそれで良い。
まず第一に、この映画、ドラッグ描写が悲惨すぎるよ。スコセッシなら、ドラッグ最高!シャブ最高!何が悪い?と描く。
ラストも結局、悪い奴が惨めそうに終わるんだよなぁ。スコセッシの描く悪は転んでもタダでは起きない。最後まで悪が笑って終わる。
現時点での日本版のスコセッシ候補は全員死刑の小林監督、或いは園監督かもな。昔の三池監督はいいセンいってたけど今は丸くなっちゃったし、北野監督は北野ブルーな悪でありスコセッシって感じじゃないんだよな。
別に貶してるわけじゃなく、この映画は普通に面白いです。
ガメラ2 レギオン襲来
面白かった。前作ほどバカっぽい演出はなくなり、きちっと仕上げてきたな、という印象。前半はSF・モンスター・ホラー調、後半は怪獣映画。
前半はサスペンスの繰り返しで、怪獣を中々怪獣をあまり「見せない」んだよね。この「見せない演出」はサスペンスの王道で、エイリアン2とかジョーズとかでも用いられている。SF要素もディテールまで作り込まれていて、真偽のほどは判らないが、少なくとも矛盾は目立たない。世界観に浸れました。
後半は怪獣映画。自衛隊がガメラと共闘する「待ってました」という展開に。ラストバトルも編集が上手い。ガメラとレギオンの闘いと、自衛隊の作戦の展開が、同時並行で描かれる。それが超ハマってる。「エンドアの戦い」みたいにかっこいい。さすが。良く研究してるというか・・・上手いとしか言いようがない(偉そう)。
しかし、撮り方が上手いのは前作もそう。今作でさらに加えられている要素は「怪獣愛」だと思う。「自衛隊と怪獣の共闘」とか「戦車が公道を走る光景」とか「無垢な子供が願うと助けに来るガメラ」とか、怪獣ファンの心を擽るんだよね。
愛に溢れた映画です。