座頭市 喧嘩太鼓
本作は雰囲気暗めのシリアス調の作品だった。市だけでなく、各キャラクターが各々の影の側面を持っていた。
本作が冬に公開された作品だからっていうのもあるのかな。今まで観てる感じだと、夏の作品は明るめの、冬の作品は暗めのものが多い印象。作品の雰囲気が季節によって変わるというのもまた一興。座頭市は日本の自然がよく描けているということだと思う。市が歩く日本の草原や山の風景を見ているとどこかホッとする。
本作では、暗闇での斬り合いの時に照明が画面に映り込んでいたり(もちろん意図的に)、最後の決闘でいきなり太鼓がドドンガドンと鳴り出したり、目が見えないはずの市が斬った相手を頭の中で思い出す描写があったり、不思議な映像がいくつかあった。1968年の作品。座頭市にもサイケデリック表現の流れが来たということなのかもしれぬ。