メッセージ②(ネタバレ)
そしてルイスは情報の到来によってテレビの「扉」を開くという象徴的な行為をする。もうここまでで「メッセージ」が「到来する(Arrival)」という邦題と原題の意味が説明済みだったわけだ。それもテレビ・電話・ネットこそが現代社会の本質的なものであると示すために、繰り返しニュース、PC、通話のシーンが描かれる。よってUFOとヘプタポッドも「知る/知らない者/メディア(空の器)/伝承」の隠喩であり、この映画は、ジョディー・フォスターの『コンタクト』と同様の「宇宙や時間、人生の全体性を知ったことで覚悟される愛(信仰)」の観客への講義(布教)だろう・・・。どうしたって「はじめに言葉ありき」の聖書の匂いを感じるのだ。
難解な記憶、時間についての表現はこの映画が回文になってるという謎解きの後に分かるのかも知れないが、解けば解くほど(もうとっくに手遅れではあるが)グローバリズムへ教化されていく予感がする。これだけ難解でもドゥニ・ヴィルヌーヴが映画を撮れるのはハリウッド資本の目的に合致してるからだろうな、と。