美しい星②(ネタバレ)
スイッチを押されて幻想を解除された父親の末期がんという現実が露わになると、家族同士で現実の暴露合戦となり傷つけあってしまい、いかに幻想が大切なものであるかの気づきに至る。するとTV画面のアシスタント(!)からワンチャンスが与えられ、もともと(家族で海外旅行の)夢へ自覚的に乗っかることの大切さを知っていた母親の先導によって家族は態度を変える。他人の幻想を信じるか信じないかの受動的態度から、あえてその幻想に乗っかる自覚的な態度に変わることで、家族は父親の幻想にとことん付き合うことにする。(寅さんの前向きなノリに周囲が巻き込まれていくように)
ラストシークエンス。火星人としての父親が乗った宇宙船のコンピューターが言う「任務完了、ごくろうさまでした」が、幻想の力で家族を一つにした成果へのねぎらいと分かったとき、幻想の否定面と肯定面がうわっとねじれてメビウスの輪となり、感動に襲われる。