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『ノーゲーム・ノーライフ ゼロ』

変わらないことの尊さと愚かさを包み込んだ優しくて厳し過ぎる傑作。

「異種族の無垢な存在(だいたい少女の形を取ってる)との交流と犠牲による泣かせ」という劇場アニメ作品がよくとるプロット(トリニティセブンや魔法科高校の劣等生
)を取りつつ、それが内紛する救いのなさをしっかり見つめているのが“幻想殺し”の花田十輝氏と“過剰リアリスト”のいしづかあつこ氏らしい。無論、作家論で見るなら原作(6巻)榎宮祐氏の「強者故の敗北者」への冷徹かつロマンチストな視点も忘れてはならない。

冷酷に仲間に自己犠牲を強いるリクの希望は最後まで叶わずリク自身によって裏切られ、シュヴィは感情を学びリクへの愛を育みながらも最後までエクスマキナの一部としてしか報われず、コローネは傍観者として報われた筈の世界を口惜しさいっぱいに生きていくことを強いられる。

特にシュヴィは育んだ感情すらエクスマキナの一部に回収されることでしかリクの力になれないのが残酷で、それ故にこの作品がカーストの最下位である人間側の物語でありながら人間に肩入れしていないことの証明で、そこが本当に誠実で泣ける。

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