DVD『ストーンウォール』エメリッヒ版『真夜中のカーボーイ』。
「ストーンウォールの反乱」を脚色しまくってまで自分を投影したジェレミー・アーヴァインを事件の渦中に存在させたかったローランド・エメリッヒの愚か者っぷりに泣く。
ゲイの危険性を訴える“教育映画”の上映描写を始め身を切るような描写のオンパレードなジェレミーの故郷を出るまでの前半。ここから始めなければ自分の映画にならない、と言わんばかりのエメリッヒの痛切な語り口は舞台がニューヨークに移っても変わらない。マルクス・フェーデラーのくどい色彩に疲れる撮影と共にジョニー・ボーシャンとやるせなく切ない、不信と信頼を行き来する交流劇。
実際はその場にいなかった人物が暴動を先導してしまう問題のクライマックスに不覚にも涙してしまったのは、自分の歴史への無知と無理解が大きいのは確か。
その上で本作を愛さずにいられないのは、エメリッヒの連帯へのああまりに無邪気な信頼とそこに自分の投影を置かずにはいられない傲慢な想いに共感してしまったからだ。「あの時代にいれば…、あの場にいれば…」という願望を自分は完全に否定出来ない。押井守ならわかってくれるはず