未公開DVDスルー『グッド・ネイバー』
ジェームズ・カーン映画として、青春映画として、撮る者と撮られる者の映画として…、傑作。
『不意打ち』、『ミザリー』を経たカーンのキャリアと、ローガン・ミラー(『ゾンビワールドへようこそ』)&キーア・ギルクリスト(『イット・フォローズ』)の青春劇が被害者と加害者の関係性をコロコロ変えながら激突する。
愚かさを若者のみに託さなかった作劇に唸る。裁判の挿入に限らず、老いも若さも愚かつ切実に描く姿勢がリチャード・フライシャー作品を思わせる(特に『強迫/ロープ殺人事件』)。
地味な画ヅラを支えるアレクサンダー・アレクサンドロフの撮影がユーモラスで楽しい。カーン邸内かくれんぼ場面の圧倒的バカバカしい画面に笑ってると、イヤ~な展開が待ち構えている意地悪さも素敵。ラストの皮肉なのに妙に崇高かつ恍惚にも見える人物のアップのショットも素晴らしい。
監督は数々のアメコミSF大作でコンセプトアートを手掛けたカスラ・ファラハニ(近作だと『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』)。これが長編デビュー作という驚き。長編2作目『Tilt 』も期待。