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『夜に生きる』。陰惨で最高。 

出目と宗教に対するアウトローの勝ち目のない闘争を描くノワール版『エルマー・ガントリー』。

タイトルの「夜」を連想させる黒や闇より、KKKが火で照らす闇夜の光と聖に目覚めたエル・ファニングの純白の衣装が痛々しい背中と共にグロテスクな「秩序」を浮き彫りにする。白日の元に生きる俗世の禍々しさを見ていると、本作の夜はむしろ安全地帯に思えてくる。

考えてみれば大義の基の戦争を、身をもって仮初めの産物であることを知った男の物語なのだからこれは当然。『ザ・タウン』から更にシャープになった壁や車体への損壊描写への異様なまでの拘りが見えるカーチェイス&ガンアクションも、本作が描く「昼に生きる」世界の禍々しさの前には牧歌的にすら映る。

ギリギリ娯楽作の体裁を保ってきた流れで取ってつけたように起こる惨劇も、白々しさよりどうしようもない縁のようなものを思わせて恐ろしく感じたり。二組の父子の絆が生む惨劇と救済(『ゴーン・ベイビー・ゴーン』だ!)を経て来るべき大戦を「そんなもの無意味だ。起こるはずがない」と評して終わるラストの陰惨さは『ミスティック・リバー』並に重い

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