映画『イノセンツ』感想
ノルウェーの団地スリラー。凄惨なシーンや子どもたちの心中の描写をはっきり映像化しないことで、逆に生々しい様子を想像させる演出になっており恐ろしい。(※猫注意)
不穏な空気と緊張感の描写がとても良かった。
ラストも、命掛けのやり取りが行われているのに、周りの大人たちは誰も気づいていないところを引きのカメラで撮る画は、恐ろしくて印象的。
大変なことが起きているのに、大人にちゃんと説明して相談できる子がいない状況もすごーく嫌ですね……。親を無条件に信頼している子ならともかく、あの環境で9歳の子が親にちゃんと説明できるとは思えない……。(イーダの両親がダメな親というわけではないと思う)
その代わり、イーダが姉のアナに心を寄せるようになっていく展開になっていて良かった。イーダは冒頭、無邪気ながらに残酷さもある子で、だからこそベンジャミンと仲良くなったのだろうけど、その後アイシャと出会いアナの心を知ることで、残酷な道に入ることがなかったのだろう。純粋さ故に、善にも悪にも容易に傾きうる子供の姿の描写はまさに「イノセンツ」だった。