主人公ロカンタンの俗物に対する憎しみを吐露する描写は映画「ファイト・クラブ」みたい笑。
小説の大部分が、ロカンタンの心の中の観念的な呟きで占められているので、普通の小説を読み慣れている人でも読み難いのではないか。(事実僕は結構しんどかった。)
サルトルは本作を哲学的なエッセーとして書き始めたらしい。エッセーだけだったら、本作は一般人にとっては何が何だか分からない本になっていたと思う笑。ロカンタンの一人称のフィクションという形式を取ってくれたからこそ、僕みたいな一般人でも辛うじて、なんとなく理解できるものになっている。物語なので、サスペンスとクライマックスもあるおかげで、だいぶ読み易くなっている。
あと、ロカンタンに感情移入できるかどうかがデカい。感情移入してしまう人にとって本作は「癒し」になるが、できない人にとっては「?」なんだろうな。
映画版「桐島、部活やめるってよ」との繋がりだが、確かに、ヒロキくんは「ロカンタン」だし、映画中のあるセリフは、ロカンタンが言うものと同じ。「嘔吐」との繋がりが言われているのは、この辺なんだろう(多分)。