メッセージ③(ネタバレ)
今週は原作を読んでみた。ルイスがヘプタポッド語の学習によって娘が死ぬ不幸な未来の記憶を持つようになっても、そのままのとおりの人生を生きようとする理由を、小説では哲学的、科学的な説明に加えて既知の本の再読の例などを用いて丁寧に説明してある。映画では直感的な理解や愛で説明が省略されてる感じがするが、隠喩としては「本の再読」のたとえを「映画」におきかえて説明してるように思う。それは本も映画もそれにテレビゲームですら、一度見て知ってる内容をもう一度見たくなる(やりたくなる)ということ。つまり2回目以降の読書/映画鑑賞/ゲームプレイは、既に最初から終わりまでの「未来」を知りつつも、それをもう一度「生きる」行為と言えるわけだ。
さて『複製された男』では都会を跋扈する巨大な蜘蛛が登場するが、これは六本木ヒルズにもあるルイーズ・ブルジョアの彫刻「ママン」であるからして、ドゥニ監督は現代美術の引用が好きらしい。④へ https://eigadon.net/media/BzAkZYHqabQ0VaxmH-A