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DVD『デリリウム』

冒頭の被害者、加害者、目撃者(店主の下品な表情のアップ!)の示し方とかストーリー上、必要なカットを撮ってるだけなのに心ざわつく違和感が全面に出ている異様さ。やっぱジャーロとしてもレナート・ポルセッリ作品としても異色としか言いようがない傑作だな。

ズタズタなカット割(演出というより各国別バージョン作成のための編集の作用と思われる)で描かれるミッキー・ハージティとリタ・カルデローニの妙ちきりんな夫婦会話と、相反する感情の工作を現す階段描写がクライマックスの展開を予見してる周到さに唸る。整合性無視の力技の狂気展開が評価されてる本作だが、少なくともポルセッリは感覚だけで本作を演出してはいないと思う(当たり前だ)。

事件の当事者三人が屋上に一旦集合してから地下室に向かうまでのやり取りも、ハイテンションな演技に隠れた冷静な演出プランが垣間見えて素晴らしい(階段降りの反復なんかもの凄く図式的)。

やはりこの味わいを『ジェイコブス・ラダー』的解釈で覆い隠してしまったアメリカ編集版は別物と考えたほうが良いよな(嫌いではない)。

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