『人生タクシー』。技巧と主張への全振り演出が最高に嫌味ったらしくてムカつくのに最高に面白いからジャファル・パナヒはズルい。
言わずにはいられない、撮らずにはいられない映像がデ・パルマ並みの強迫観念を思わせる映像の曼荼羅で繰り出されるから、師であるキアロスタミ譲りのいやらしい子供描写やドタバタ乗客描写も観客をねじ伏せる様に見せ尽くしてしまう。
パナヒと姪の無言切り返し場面の凄まじさは序盤の血みどろ乗客を完全に忘れさせてしまう暴力的なユーモアに満ちてて素晴らしい。
交通事故をもったいぶって描かなかったのも素敵だ。おかげでオチの儚さによりスパイスがかかって良い感じ。