ボヘミアン・ラプソディが
楽しかったポイントは、劇場のいい音響で、クイーンの名曲をずっと聞けた、ということだな。
実際のクイーンのことはなにも知らずに書いているが、周りのバンドメンバーも、家族も、最初の彼女も、暖かく誠実な人たちだけど、既存の市民社会から逸脱することはない。
他のメンバーも、もちろん才能ある人達なんだけど、フレディはちょっと格が違う。巨大な才能の持ち主は孤独にならざるを得ない。
出自に対する劣等感、セクシャリティを認められない苦しみ、そういうものがさらに拍車をかける。
そのあたりが、映画的に美しく表現されていたので、感動を呼んだんだろうなぁ。
そして、フレディの感情がていねいに追われているからこそ、わたしにとっては、「まあ、あるよね」になっちゃったのかも。
わたしには才能はないが、彼とは違う道筋で「周りと違う存在」という孤独を克服してきたから。
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これはよくできた脚本。
ずーっと画面の中でストーリーがすすむので、見ていると息苦しいのだが、それも計算なんだろうなぁ。
アメリカのアジア系(たぶん韓国系)の家庭なんだが、別にアジア系ということを強調するわけじゃなくて、料理名にちらっと出てくるだけ。こういう描き方いいな。
マイノリティが出てくると、そのマイノリティ性だけが強調されて、キャラクターがつけたしになっちゃうのにはうんざり。
ふつうに存在するのだから、ふつうに主人公になることだってあるわさ。
母親というのは、子供と父親の間をつないでる存在であることが多くて、母親を亡くしてしまうと、父と子の間に大きな空白が空いてしまう。
そういう設定がなくても、ティーンエイジャーの子供の交友関係とか、ふつう親にはわかんなくなってくるもんだし、子供も知恵がついてくるからウソも上手になるし。そのへんもリアルだった。
「古山子 王朝に背いた男」
意味がわからんサブタイトル。どうせ説明するなら「地図」という言葉を入れるべきだろう。
古山子は「コサンジャ」と読み、主人公の号です。本名はキムジョンホ。
チャ・スンウォンの無駄遣い。
後世に名を残した人物が、同時代ではただの偏屈ものや奇矯な人で、家族は大迷惑、というよくある話。
朝鮮八道の美しい風景は堪能できるが、ストーリーがぐだぐだ。
人物の性格付けと行動が合ってない。
愛国心あおるのもダサい。
旅する場面と地図を描く場面は出てくるのだが、ただ歩いたって地図ができるわけもなく、そのへんの技術や工夫がまったく出てこないので、見ててぽかーんとなってしまう。
主人公は地図以外頭にない地図バカで、それはいいのだが、地図の戦略的意味をどうしても理解しようとしなかったり、あまりに愚鈍でうんざり。
役者はよかったんだけどねー、というか、韓国映画で役者がよくないのはあんまり見たことないが。
「イコライザー」
イコライザー2がやってるけど、最初のを見てないので、どうかしらんと思って見てみた。
フークアなので、かなり期待。
マグニフィセント・セブンでのデンゼル・ワシントンは体型があまりにもっさりしていて、実はいまいち納得いかなかった。リーダーだし、キレキレの動きは別の人がやってるから、映画としては問題なかったんだけど。
本作では、アクションてんこもりで、めっちゃいい人(ためらわず殺人を犯せるという意味では違うけどw)という役なので、キャラクターどおりばっちりです。
そのへんにあるもの、なんでも使って相手の肉体を破壊するというのが、ひとつの見どころになっていて、おもしろいのはおもしろいんだけど、クライマックスのホームセンターでは、そんなもん使う必要あるか? みたいな感じも。
ヘイリー・ベネットがとても哀切でよかった。
で、劇場に2を見に行ったかというと、もたもたしているうちにレイトショーだけになってしまったので、見ずじまいになりそう。
昼間なら行ったんだけどねぇ。
「ルイスと不思議の時計」
当地では吹替しかやってないので、しかたなく東京に出た折に字幕版見ましたよ。
冒頭のクレジットにカイル・マクラクランの名前を見て、こいつが悪役だろ、と思ったら大当たり(笑) というか、だれでも予想つくか。
アメリカで長年愛されている児童小説が原作ということで、友達の気をひくためにとんでもないことをしでかす子供の心理は、よく描けてるなぁと思った。でも、それは原作の手柄だよね。
映画としては、気持ち悪い人形たちと時計だらけの屋敷の美術とか、ちょっと昔(70年代?)のアメリカの雰囲気とか、映像は美しかった。
だけど、なんだかおじさんと隣のおばさんの人物像がよく見えない。JBとケイト様のキャラに頼りすぎじゃね?
そういう意味では、かなり子供向けという感じ。
しかし、顔だけおっさんのJBベイビーはまったくいただけない。どんなクリーチャーより気持ち悪かった。
「クレイジー・リッチ」
1,100円サービスデーだというのに、夕方からの回に行ったら、観客はわたし含めて4人。こりゃ、当地では早々に打ち切りになりそう。見に行ってよかった。
楽しいラブコメで、テーマも古典的。家族と個人の相克。
都会で成功した女性が、地方の大金持ちの御曹司とそれとは知らずに恋に落ち、「親にあいさつ」ということで連れて行かれて、カネ目当てと思われて騒動になる。
これが、アジアからアメリカに渡った移民だとこういう話になるのね、という感じ。
御曹司の彼氏はめっちゃいい人なのだが、家族という装置の抑圧性にまったく気づいてないところが、後の悲劇を感じさせる。
大金持ちの彼氏の親族より、小金持ちの友達一家のほうが幸せそうだ。
ハリウッドで白人俳優使って作ったらふつうの映画だが、役者全員アジア系を使うと、政治的なイシューになる。
まあ、移民というのは、生きてるだけで政治的な存在だからしかたない。
邦題で "Asian" がはずれたあたりも。
映画は劇場で見たい。韓国映画多めです。
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