『リップヴァンウィンクルの花嫁』を見ました。
本作で監督がメッセージというかテーマとして描いたのは”お仕事”ということなのかなと思いました。
真白さんやAV女優の人たちは仕事にプライドを持っている人達として、安室や序盤に出てきたキャバ嬢の友人は仕事にプライドの持てない人達として描かれているのかなと思いました。特に安室に関しては、真白さんの実家で仕事にプライドの持てない自分に対して後悔を感じてのあの号泣。そして、ラストでお金にもならないのに七海さんに家具をあげるという行為をすることに繋がるのかと思いました。
そして、七海さんは序盤では流されるように教師を辞め、いろいろな仕事をしますが、作中どんな状況でも、元生徒の引きこもりの子に対する家庭教師だけはやめません。あのことが七海さんのプライドの持てる仕事であり、アイデンティティーなのかなと感じました。
あと真白さんの幸福論はすごくよかったです。ああいう思想論みたいなものを核のが上手いなと思いました。
最後にシネスコの色が変わっている演出の意味とリップヴァンウィンクルの意味がいまいちわからなかったのでそこが気がかりでした。
『コクソン』見ました。
ホラー映画なんですけど、だいぶいろんな要素がミックスされた作品だと感じました。ホラー映画と一口にいってもスプラッター・ゾンビ・ジャパニーズホラーe.t.c. といろいろあると思うのですが、それらの影響を受けつつ、綺麗にまとめていたように感じました。
祈祷師と國村隼さんの呪いのかけあいのようなシーンがすごくよかったです。作中の音をBGMとして、2つの場面の音を明確に分けて、対称化していました。
あと、見ていて実際の韓国の文化がどうなのかということです。信仰されている宗教はなんなのか?とか、馬(羊?)信仰みたいなのは本当にあるのか?とか。知識がないので、なにかの比喩なのか判断できませんでした。
ミスリードのためだけのシーンでは?と思うシーンもありましたが、俳優さんの演技も良く、最後までどう終わるかわからない、面白い作品でした。
『SHORT PEACE』見ました。
オムニバス作品でしたが、全体的に和のテイストでなかなか良かったです。
『火要鎮』では、友克洋さんはやっぱり巻物みたいな描き方が好きなんだなと思いました。『大砲の街』のときのコメンタリーでも言っていたし。 シネマスコープを絵巻物の模様のようにしていたのは多作品との差別化も図れていてすごくよかったです。ただ個人的には大友さんのカメラの動かし方が好きなので、カメラが平行に動くか、暗転で場面を変えている本作の描写はそこまで好みではなかったです。絵巻物ということを意識しての表現だとは思うのですが…
最後の『武器よさらば』だけ雰囲気が違い、近未来ということでしたが、やはりカトキハジメさんのメカデザインはかっこいいです。なんかガンダムの08小隊を思い出しました。トレーラーのデザインの問題かも。
『幕が上がる』を見ました。
本作はアイドル映画ということでその性格が強く出ていたと思います。青春ものであったり、ももクロのメンバーに寄せた脚本の改変や小ネタであったり。角川映画が好きな自分としては非常によかったです。
ストーリーはももクロメンバーの一人一人にスポットを当てていくスタンスが上手く展開に落とし込まれていて見ていて気持ち良かったです。
そんな中で一番気にかかったのは先生の存在です。演劇では“機械仕掛けの神”という用語がありますが、彼女はそれだったのかなと思いました。行き場のわからない主人公に行く先を提示していく存在。ある種舞台装置である彼女ですが、最後にはプロの世界と学生演劇という違いはあれど、同じ舞台に立つものとして同じ方向を向く存在になる。そして上がる幕。非常にいいラストでした。
洋画・邦画・ジャンルも雑食気味です
よかったら絡んでくれると嬉しいです